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Moment to moment

 石を踏み越えて行くこの人物の足取りは軽く、深刻なところは ひとつもなく、それでいて完全にバランスを保ち、油断がありま せん。渦を巻き、たえず変化しつづける水の背後には、ビルディ ングの輪郭が見えます。都市が背景に姿を現わしているのです。 この人は市場(マーケットプレイス) にいますが、それでいてなお、その外にいて自 分のバランスを保ち、市場を上から見守ることができます。 このカードは、別の場所と別の時に心を奪われている状態から離 れて、今ここで起こっていることに油断せずにいてごらん、と私 たちを促しています。自分の判断、好み、そしてこまごまとした 長期計画への執着をすべて落としたら、生はそのなかで遊ぶこと のできる大海です。自分の道に現われるものに対して開いていま しょう——来るに任せて。そして、つまずいたり転んだりしても、 心配することはありません。自分を起き上がらせ、ほこりを払い、 思い切り笑って、進みつづけましょう。
 過去はもうないし、未来はまだない。このふたつは両方 とも、その必要もないのに、存在しない方角に動いてい る。ひとつは、かつては存在していたがもはや存在せず、 もうひとつは、存在しはじめてすらいない。唯一正しい人 とは、瞬間から瞬間へと生きる人、その矢が瞬間に向け られている人、つねに今とここに在る人のことだ。どこに いようとも、その人の全意識、全存在は、ここの現実(リアリティ) と今の現実(リアリティ) にかかわっている。それこそ、唯一正しい方角 だ。そういう人しか黄金の門には入れない。 現在が、その黄金の門だ。 
 <今ここ>が、黄金の門だ。 
 ……そして、あなたが現在に在ることができるのは、野 心がないときだけだ——成し遂げるということがなく、権 力、金、名声、光明さえも達成したいという欲望がない ときだけだ。というのも、野心はすべて、あなたを未来へ と導いていくからだ。野心のない人でなければ、現在にと どまることはできない。 
 現在に在ろうと望む人は、考えなくてもいい。ただ見 て、門を入ればいいだけだ。体験はやって来る、が、体 験は前もって計画したものであってはならない。
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